健康新聞 定期連載〜第5回 へバーデン結節〜
2024年08月05日
西山信介院長が健康新聞の取材を受けました
8月4日(日)発行の健康新聞で西山信介院長が取材を受けました。女性のためのメディカルノート第5回はへバーデン結節です。女性がかかりやすい疾患や健康トラブルはライフステージによって変化します。 病気になってからではなく、早期発見・予防につなげるためにも、女性特有の病気について理解を深めましょう。
第5回 へバーデン結節 〜女性のためのMEDICAL NOTE〜
医療法人 西山記念会 MIRAI病院 西山信介病院長
更年期に多発しやすい手指の症状にはエストロゲンの補充療法が鍵
手や指は、神経や腱(けん)、筋肉、骨などのさまざまな組織が集中し、日常生活を支えている大事な器官。しかし、使い過ぎや年齢を重ねていくうちに、徐々に関節を構成している軟骨が減少し、滑膜に炎症を起こしやすくなります。
手指の変形性関節症のうち、代表的疾患の一つである「ヘバーデン結節」の症状は、指のDIP関節(第一関節)が腫れる、水ぶくれのような膨らみ(粘液嚢腫=のうしゅ)、こぶ(結節)、屈曲変形、痛みを伴うなどが挙げられます。炎症が続くと、関節の変形も進行します。指のPIP関節(第二関節)にも、ヘバーデンと同様の症状が現われる「ブシャール結節」にかかる場合があり、より日常生活に影響が出てきます。
病因は、前回お伝えした関節リウマチと同様にはっきりと分かっていませんが、女性にとって重要なホルモンの一つ、エストロゲンの変化が大きく関係していると考えられています。特に中高年の女性は、閉経(40代後半〜50代前半)を挟んで更年期に当たり、その年代に好発することから、「メノポーザルハンド」とも呼ばれています。
更年期は、エストロゲンの分泌が急燉に低下することで、患部の痛みや腫れを引き起こす可能性があります。ピークを過ぎると痛みは和らいできますが、変形は残ってしまいます。初期の炎症を抑えて、将来の変形をできるだけ少なくするように治療を行います。
基本的な保存療法は、なるべく指の使用を控え、テーピングでの局所固定や薬物療法、リハビリテーションなどを行います。また、急澈なホルモン低下に対しては、エストロゲンに似た作用を持つサプリメントで、エクオールの効果も期待されています。それでも痛みや変形が改善しない場合は手術を考慮します。
生活の不便を少しでも解消するためにも▷患部を冷やさない▷朝起きた時は温めながら指を動かす▷指の力を使う作業は避けてテーピングや指サックで保護する▷補助器具を使うなど、年齢のせいとあきらめず、自分に合った適切な治療に努めましょう。