健康新聞 定期連載〜第8回 脂質異常症〜
2024年11月11日
西山 典子副院長が取材を受けました
11月3日(日)発行の健康新聞で西山典子副院長が取材を受けました。女性のためのメディカルノート第8回は脂質異常症です。女性がかかりやすい疾患や健康トラブルはライフステージによって変化します。 病気になってからではなく、早期発見・予防につなげるためにも、女性特有の病気について理解を深めましょう。
第8回 脂質異常症 〜女性のためのMEDICAL NOTE〜
医療法人 西山記念会 MIRAI病院 西山典子副院長
閉経後に発症リスクが上昇 生活習慣改善を最優先に
いま、小児生活習慣病予防健診(学校健診)や特定健康診査(メタボ健診)などで、もっとも多く見つかるのが脂質異常です。ただ、血液検査で高いコレステロール値が出ても無症状のため放置する人も多いのが現状です。しかし、長期間血液中に脂質が蓄積されると、血管の壁にコレステロールがたまり動脈硬化を招くことで、糖尿方や心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化性疾患の要因となる可能性があります。
血液中の脂質には、善玉コレステロール(HDL)、悪玉コレステロール(LDL)、中性脂肪があり普段はバランスを保っています。ところが何らかの理由でこのバランスが崩れ、悪玉コレステロールや中性脂肪が多すぎたり、善玉コレステロールが少なすぎたりすると脂質異常症と判断されます。
脂質異常症の原因の多くは生活習慣です。慢性的な高カロリー食品の食べ過ぎや過度な飲酒。さらに運動不足、肥満、喫煙なども指摘されています。このほか、遺伝的な要因で起こる脂質異常症に「家族性高コレステロール血症」があります。この場合は若くても動脈硬化への進行が早いとされており、速やかに医療機関を受診することを推奨します。
また、男性は30歳代から、女性は閉経後から、健康診断で要注意と指摘を受けることが多くなるようです。女性は更年期に入ると、これまでコレステロールや中性脂肪の上昇を抑える働きをしていた女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少するため、男性よりも発症しやすくなります。
治療法は、原因となる生活習慣の改善が最優先されます。緑黄色野菜や青魚、大豆製品などを積極的に取り入れ、有素運動や日常の活動で体脂肪を燃焼させることが大切です。それでも効果が表れない場合は、定期的な検査を行い血管に動脈硬化が起きていないか確認をしながら、コレステロールや中性脂肪の値を下げる内服治療を進めていきます。
生涯、元気で生き生きとした生活を送るためにも、年に一度は必ず医療機関や協会けんぽと契約している健診機関などで健康診断を受けて、異常があれば放置せずいち早く対処できるよう努めましょう。