慢性疲労症候群(ME/CFS) まずは、病気を知って欲しい。
2024年07月31日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に罹患し、長期経過した後も強い疲労感や自発性の低下、頭に霧がかかるような感じ (ブレインフォグ)、起立性調節障害、睡眠障害、嗅覚異常などの症状が続く後遺症のことを long COVID と呼ばれています。
しかし、実はCOVID-19以前から、発熱やウイルスなどの感染後、身体機能や認知機能に低下が見られ、疲労や痛みを主症状とする「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS )」という病気が存在していました。
まるで体が鉛になったような極度の疲労感
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS )は突如として発症する複雑な神経免疫系の疾患です。単なる疲労感とは異なり、これまで健康に生活していた人が、ある日突然に原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、説明のつかない極度の疲労感を繰り返しながら6か月以上にわたって日常生活に支障をきたすものです。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS )の診断を確定できる検査はありません。 そのため医師は、よく似た症状を引き起こす可能性のある他の疾患を否定する必要があります。また、精神症状の合併については、診断が難しいですが精神症状では説明のつかない症状の存在を確認し、診断することは可能だと言われています。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は深刻な病気
単なる疲労感ではない、正しい知識で正しい理解を!
「慢性疲労症候群」という名前のため、多くの人に「ただ疲れているだけ」や「怠けている」と誤解されてしまい、患者さんへの偏見につながることがありました。
そこで、この病気の本当の深刻さを伝えるためにイギリスやカナダで使われていた「筋痛性脳脊髄炎(ME)」と、日本やアメリカで使われていた「慢性疲労症候群(CFS)」を組み合わせ、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」(Myalgic Encephalomyelitis / Chronic Fatigue Syndrome:ME/CFS)が正式名称となっています。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の原因
現在、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の原因は未だわかっていません。脳の血流量や神経系、内分泌系、免疫系に異常がみられることがあります。風邪などの感染症の後に発症するケースが多く、ウイルスの影響が考えられています。また内的外的なストレスで発症しやすいとも言われています。
ストレスをきっかけとして神経系の働きに異常が出たり免疫力が低下すると、体内に潜伏していたウイルスが再活性します。それにともない免疫の過剰反応が起き、脳の働きにまで影響を与えてしまうことで強い疲労感などの症状、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に繋がると考えられています。
「慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業」(厚生労働省)(www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000104377.pdf)を加工して作成
可能な対症療法を実施する
現在、治療法としても確立されているものはありません。しかしながら漢方や和温療法、認知行動療法やTMS治療で改善している例が出てきています。
また、さまざまな対症療法は患者の症状を緩和できる可能性があります。鎮痛薬や光・音過敏に対処するための耳栓, アイマスク,サングラス,睡眠衛生をよくする方法,症状を悪化させる食品を避けることなども有用です。 最近では治療としてTMS治療も効果が示されてきています。
様々な検査後にどこも悪いところが見つからず、お悩みになられている方は当院へご相談ください。