
高額療養費制度の歩みと現在の申請方法
2023年12月19日
最新の高額療養費制度(高額医療費制度)の利用(申請)方法をご存じでしょうか?
はじめに
万が一、病気や事故が原因で長期入院や手術をすることになると医療費が高額になる可能性があります。国の医療保障制度には医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関等で支払う医療費が1か月で上限額に超えた場合、その分を支給される高額療養費制度(高額医療費制度)があります。通称は「高額医療」の名称にて認識されていますが、正式名称は「高額療養費制度(以下 高額療養)」となります。
例えば、医療費が総額(10割)1,000,000円の場合、3割負担の方であれば300,000円となります。所得区分にもよりますが、図2の区分エであれば限度額の上限は57,600円となるため、上限を超過した242,400円(300,000円-57,600円)が手続き後に払い戻しされるシステムとなります。

歴史
高額療養は約50年前にあたる1973年より開始され、医療費の支払い後に保険証発行先に手続きを行い、数か月後に返金される方式でした。この方式では支払いをするために高額な現金が必要な上に手続きや現金が振り込まれるまでに時間を要していました。
その後に改善が図られ、2007年に高額療養が現物給付化されました。手続きとしては、事前に保険証発行先に申請すると限度額適用・標準負担額減額認定証が交付され、それを病院の窓口に提出すれば自己負担限度額を超える分を窓口で支払う必要がなくなりました。つまり、医療費のお支払いは限度額のみに納まることになったのです。このことより払い戻すための手続きと高額分の現金の用意がなくなり、ご利用される方の負担が軽減されました。
最新の利用(申請)方法
限度額適用・標準負担額減額認定証を使用した高額療養を利用された方もいらっしゃると思いますが、近年、マイナンバーカードを保険証の代わりにできる医療機関では、マイナンバーカードにて高額療養の取得に同意をいただければ、患者さんの限度額情報を取得することができ、医療費のご請求の際には自己負担限度額までとなります。
また、保険証でも窓口や同意書等で同意されると同様の取得が可能になります。この方式を使用すれば、手続きさえも不要となり高額療養を容易に使用できるようになりました。

■図1 高額療養の沿革(簡易)
年度 | 内容 |
---|---|
1973年 (昭和48年) |
高額療養費制度が開始(申請後に医療費の自己負担限度額を超えた額が後で払い戻しされる方式) |
2007年 (平成19年) |
高額療養費が現物給付化(事前申請し病院に限度額適用認定申請書を提出すると病院での支払いが自己負担限度額までとなる方式) |
2012年 (平成24年) |
外来診療に対して、高額療養費が現物給付化 |
2021年 (令和3年) |
マイナ保険証の開始 |
■図2 自己負担区分(69歳以下)
適用区分 | ひと月の自己負担限度額(世帯ごと) | |
---|---|---|
ア | 年収約1,160万円~ 標準報酬月額83万円以上 |
252,600円+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770~約1,160万円 標準報酬月額53万円以上 |
167,400円+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370~約770万円 標準報酬月額28万以上 |
80,100円+(医療費-267,000)×1% |
エ | ~年収約370万円 標準報酬月額26万円以下 |
57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |
■図3 自己負担区分(70歳以上)
適用区分 | ひと月の自己負担限度額 | ||
外来 (個人ごと) |
外来・入院 (世帯ごと) |
||
現役並み | 現役並みIII 年収約1,160万円〜 標準報酬月額83万円以上 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | |
現役並みII 年収約770万〜約1,160万円 標準報酬月額53万〜79万円 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | ||
現役並みI 年収約370万〜約770万円 標準報酬月額28万〜50万円 |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | ||
一般 | 年収156万〜約370万円 標準報酬月額26万円以下 |
18,000円 | 57,600円 |
低所得者 | II 住民税非課税世帯 | 8,000円 | 24,600円 |
I 住民税非課税世帯 (年金収入80万円以下など) |
15,000円 |
まとめ
高額療養費制度(高額医療費制度)は、医療費の家計負担を軽減するための重要な制度です。制度創設から改善を重ね、最近ではマイナンバーカード等を利用した取得同意により、高額療養費の申請手続きを不要として病院窓口での支払いを限度額までに抑えることが可能となりました。医療の現場としても手続きの簡素化が図れ、患者さんの利便性向上と効率化することができます。
もし、不測の事態が起こり、医療費が高額になりそうな際、本日のコラムを思い出していただき、お役立ていただければ幸いです。

■リンク先(出典)
・「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(厚生労働省)(2023年12月21日に利用)
・「マイナンバーカードの健康保険証利用対応の医療機関リスト(都道府県別)」(厚生労働省)(2023年12月21日に利用)
・「マイナンバーカードの健康保険証利用について~医療機関・薬局で利用可能~」(厚生労働省)(2023年12月21日に利用)
・「医療費が高額になりそうなとき」(全国健康保険協会)(2023年12月21日に利用)