健康新聞 定期連載〜第9回 脳卒中〜
2024年12月02日
豊田 康則副院長が取材を受けました
12月1日(日)発行の健康新聞で豊田 康則副院長が取材を受けました。女性のためのメディカルノート第9回は脳卒中です。女性がかかりやすい疾患や健康トラブルはライフステージによって変化します。 病気になってからではなく、早期発見・予防につなげるためにも、女性特有の病気について理解を深めましょう。
第9回 脳卒中 〜女性のためのMEDICAL NOTE〜
医療法人 西山記念会 MIRAI病院 豊田康則副院長
生活習慣の改善で予防が可能 体に異変を感じたら即受診を
脳卒中は、脳の血管に起こる病気。脳血管障害とも呼ばれ、脳の血管が詰まったり、突然破れて出血したりすることで脳血管に障害をきたします。代表的なものに、血管が詰まり血流が悪くなる脳梗塞、血管が破れる脳出血、脳の動脈にできたこぶ「脳動脈瘤(りゅう)」が破裂するくも膜下出血に大別されます。
2021年の人口動態統計によれば、脳卒中は日本人の死因の4位であり、治療技術の進歩と治療薬の開発により、ひと昔前と比べて死亡者数が減少しています。脳卒中は発症してしまうと、まひ、歩行障害や言語障害などの後遺症となることが多く、寝たきりの原因にもなります。また、認知症、衰弱、骨折・転倒の大きな原因にもつながります。
発症の主な背景は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や喫煙、過度な飲酒などの生活習慣が深く関与しています。中でも、心房細動などの心臓病を原因とする脳梗塞の場合、心房細動のある患者さんの平均5%が毎年、脳梗塞を発症し、心房細動のない集団に比べて、脳梗塞発症リスクを2~7倍に高めています。
女性は男性より脳卒中は少ないとされていますが、閉経後から、動脈硬化抑制作用を持つ女性ホルモンのエストロゲンが減少するため、コレステロール値が上がりやすくなり、脂質異常症などの生活習慣病を端に発症率が高まります。また、妊娠、経口避妊薬(ピル)の使用、ホルモン補充療法なども挙げられます。脳卒中は、生活習慣病が直結するので、生活習慣の改善で予防ができます。喫煙、過度な飲酒は避けて食生活を見直し、こまめな水分補給はもとより、血圧の管理、一日0分以上の適度な運動を心がけましょう。ヒートショックを起こしやすい冬場の急な寒暖差にも注意が必要です。
脳は体のあらゆる機能に関わってくることから多くの場合、発症時はサインとなる症状が顔や手足、発語などに現れます。脳卒中は、「Face(顔)、Arm(腕)、Speech(言葉)、Time(時刻)」で確認できます。「いつもと違う」「様子がおかしい」と感じたら、ためらわずに救急車を呼んで速やかに受診することが大切です。家族歴や気になる症状がある方は、脳ドックを受診することも重要です。