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健康新聞 定期連載〜最終回 膵臓がん〜

2025年03月03日

西山 典子副院長が取材を受けました

3月2日(日)発行の健康新聞で西山 典子副院長が取材を受けました。女性のためのメディカルノート第10回は鉄欠乏症貧血です。女性がかかりやすい疾患や健康トラブルはライフステージによって変化します。 病気になってからではなく、早期発見・予防につなげるためにも、女性特有の病気について理解を深めましょう。

最終回 膵臓がん 〜女性のためのMEDICAL NOTE〜 
医療法人 西山記念会 MIRAI病院 西山典子副院長

 

リスク要因を理解し定期健診の受診を

膵(すい)臓がんは、近年の高齢化社会の進行とともに増加しており、新たに診断される患者数と死亡者数はほぼ等しいのが現状です。
膵臓は、胃の後ろにある長さ20秒ほどの細長い臓器で、「膵頭部」「膵体部」「膵尾部」に分かれており、膵臓がんの78%が膵頭部に、残りの22%が膵体尾部に発生し、がんができた部位によって症状が異なります。特に膵頭部に発症したがんは、胆管閉塞により生じる黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)によって発見されることがあります。しかし、多くの場合は腹部や背部の痛み、食欲不振、体重減少などの症状が出現した時点で発見され、その時にはすでに進行した状態であることがほとんどです。また、新たに糖尿病を発症したり、糖尿の方の血糖値コントロールが急に悪くなったりした場合も注意が必要です。
主なリスク要因では、家族歴、糖尿病、慢性膵炎、膵(のう)胞、喫煙、大量の飲酒、肥満が関係しています。膵臓がん患者の5~10%で、第一近親者(親、兄弟姉妹、子)に膵臓がんの家族歴がある場合は、自身も膵臓がんになる可能性が高くなることが分かっており、家系に膵臓がん患者が多いほど発症リスクが高くなります。生活習慣面では、他のがんも同様ですが過度の飲酒や肥満、喫煙が発症リスクを増す要因になります。
国立がん研究センターによると、膵臓がんの5年生存率は8.5%で、臓器別のがん死者数は、男性で4位、女性で3位を占めています。初期の段階では無症状のことが多く、早期に見つけるにはいまだ困難なのが実情ですが、近年は研究が進んでおり、早期の段階(ステージ0の上皮内がんまたは10g以下のステージ1)は、予後が良いことが明らかになっています。
高リスク群や何からの症状が現れた場合は、血液検査や腹部超音波検査で、主豚管の拡張や膵嚢胞という病変をチエックしていきます。さらに異常が見られた場合の精密検査は、造影CTや造影MRI、超音波内視鏡検査(EUS)と必要に応じてより詳細な観察や組織診を行い、適切な検査を組み合わせて診断を確定します。
膵臓がんは、自治体が実施する対策型がん検診には含まれていません。早期発見のためにも、自ら節酒や禁煙を心がけ、定期的に健康診断を受診することが大切です。 ーおわりー

 


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